八将神(はっしょうじん)とは、古い暦や方位信仰で、方位の吉凶を司るとされた八柱の神々です。
八将神には、
太歳神
大将軍
大陰神
歳刑神
歳破神
歳殺神
黄幡神
豹尾神
の八柱があります。
それぞれの神は、年の十二支に応じて異なる方位へ巡り、
木を伐る
建築する
引越す
旅行する
結婚する
出産する
耕作する
土を動かす
不浄を行う
といった行為について、それぞれ異なる吉凶や禁忌を持っています。
そのため八将神は、単純に「八つの凶神」と考えるものではありません。
どの神が、どの方位にいて、何を吉または凶とするのか
を分けて見ることが重要です。
このページでは、八将神の8柱それぞれの役割、方位、吉凶、禁忌を総合的に整理します。
- 八将神8柱から確認する
- 八将神とは何か
- 「八将軍」ではなく正式には「八将神」
- 八将神8柱の役割を一覧で見る
- 八将神はすべて凶神ではない
- 何をする時にどの八将神を見る?
- 太歳神|年の十二支と同じ位置を巡る
- 大将軍|三年ふさがりを持つ凶方位神
- 大陰神|結婚・出産を忌む
- 歳刑神|耕作・種まきを忌む
- 歳破神|太歳神の正反対にいる
- 歳殺神|殺伐の気と結婚・出産の禁忌
- 黄幡神|土を動かすことを忌む
- 豹尾神|不浄を忌む
- 八将神の方位はどう決まる?
- 八将神の方位は毎年すべて変わるわけではない
- 八将神で「凶方位が重なる」とどうなる?
- 建築で見る八将神
- 結婚・出産では大陰神と歳殺神を見る
- 旅行・引越しでは歳破神を見る
- 農業では歳刑神を見る
- 八将神と方忌み
- 方違えとは
- 方除とは
- 八将神と九星気学は別体系
- 八将神と金神・土公神も別
- 八将神と歳徳神の関係
- 「八将神=全部避ける」という考え方ではない
- 八将神を調べる基本手順
- 現代ではどう受け止めればいい?
- 八将神8柱をもう一度確認
- まとめ|八将神は8柱それぞれの役割と禁忌を読む方位体系
八将神8柱から確認する
太歳神|基本吉・伐木を忌む
大将軍|殺伐を司り、三年ふさがり
八将軍・大将軍とは|由来・役割・方位・吉凶・三年ふさがりを総合解説
大陰神|結婚・出産を忌む
歳刑神|耕作・種まきを忌む
歳破神|移転・旅行・乗船を忌む
歳殺神|殺伐の気を持ち、特に結婚・出産を忌む
黄幡神|土を動かすことを忌む
豹尾神|不浄を忌む
八将神とは何か
国立国会図書館では、八将神について、吉凶の方位を司る八神であり、その方位は年の十二支によって決まると説明しています。
つまり八将神は、
年によって位置を変える方位神
です。
そして八柱それぞれに、異なる役割や禁忌があります。
一つの共通ルールですべてを判断するのではなく、神ごとの性格を確認する必要があります。
「八将軍」ではなく正式には「八将神」
検索では「八将軍」という表記を見ることがあります。
しかし、伝統的な名称として基本になるのは八将神です。
大将軍という一柱が含まれているため、「八将軍」という表現と混同されやすいですが、
八将神=八柱全体の名称
大将軍=その八柱のうちの一柱
です。
このサイトでは検索上「八将軍」という語も使用していますが、体系を説明するときは八将神を基本とします。
八将神8柱の役割を一覧で見る
太歳神
木星の精。その年の十二支と同じ方位に位置します。基本的にはその方角に向かって万事吉ですが、木を伐ることを忌みます。
大将軍
金星の精。殺伐を司り、その方角は凶とされます。同じ方位に3年間とどまるため「三年ふさがり」と呼ばれます。
大陰神
土星の精。太歳神の皇后とされ、その方向で結婚・出産を行うことを忌みます。
歳刑神
水星の精。刑罰を司るとされ、その方角は万象に凶。特に耕作・種まきを忌みます。
歳破神
土星の精。常に太歳神の正反対に位置し、移転・旅行・乗船を忌みます。一方、家畜を求めることは吉とされます。
歳殺神
金星の精。殺伐の気に満ちる方位とされ、万物を損し滅するとされます。特に結婚・出産を忌みます。
黄幡神
羅侯星の精。万物の墓の方・兵乱の神とされ、土を動かすことを忌みます。一方、弓始めなどは吉とされます。
豹尾神
計都星の精。黄幡神の反対に位置し、不浄を忌みます。大小便や家畜を求めることなどが禁忌とされます。
八将神はすべて凶神ではない
八将神というと、凶方位を示す怖い神々という印象があります。
しかし、八柱すべてが同じような凶神ではありません。
代表的なのが太歳神です。
太歳神の方位は基本的に万事吉とされています。
ただし木を伐ることだけは凶です。
また黄幡神も、土を動かすことは凶ですが、弓始めなどには吉とされます。
歳破神も、移転・旅行などは凶ですが、家畜を求めることについては吉です。
つまり八将神は、
神ごとに吉・凶・禁忌が違う
という体系です。
何をする時にどの八将神を見る?
八将神は、神の名前から調べるだけでなく、予定している行為から逆引きすると理解しやすくなります。
木を伐る
太歳神
太歳神の方位は基本的に吉ですが、木を伐ることだけは明確に凶とされています。
建築・大規模な工事
大将軍
大将軍の方角は凶とされ、後世には建築・土木などとの関係が強く意識されました。
また、土を動かすなら黄幡神、木を伐るなら太歳神も確認します。
土を掘る・造成する
黄幡神
黄幡神の方角へ向かって土を動かすことは凶とされています。
引越し・移転
歳破神
歳破神は移転を明確に忌みます。
後世の方位信仰では大将軍も移転と結びつけて警戒されます。
旅行・乗船
歳破神
旅行・乗船を特に忌む八将神です。
結婚
大陰神・歳殺神
どちらも結婚を禁忌とします。
ただし神格や巡る方位は異なります。
出産
大陰神・歳殺神
結婚と同じく、両神で明確に忌まれます。
耕作・種まき
歳刑神
歳刑神は耕作・種まきを忌む神です。
不浄に関する行為
豹尾神
豹尾神は万事不浄を忌むとされます。
太歳神|年の十二支と同じ位置を巡る
太歳神は木星の精とされます。
方位の規則は非常に簡単で、
その年の十二支=太歳神の方位
です。
子年なら子、丑年なら丑、午年なら午というように毎年一方位ずつ巡り、12年で一巡します。
また、太歳神は八将神の中では基本的に吉とされます。
ただし、木を伐ることだけは禁忌です。
大将軍|三年ふさがりを持つ凶方位神
大将軍は金星の精とされ、殺伐を司ります。
その方角は凶とされ、同じ方位に3年間とどまります。
この特徴が三年ふさがりです。
大将軍は、
西
北
東
南
の四正方位を3年間ずつ巡ります。
後世には建築・土木・移転などさまざまな行為との関係が語られました。
大陰神|結婚・出産を忌む
大陰神は土星の精とされ、太歳神の皇后とされます。
この方角に向かって、
結婚
出産
を行うことが凶とされます。
歳殺神も同じく結婚・出産を忌みますが、神格や所在方位は異なります。
歳刑神|耕作・種まきを忌む
歳刑神は水星の精で、刑罰を司るとされます。
その方角は万象に凶とされ、特に、
耕作
種まき
を忌みます。
農耕との関係が強い八将神の一つです。
歳破神|太歳神の正反対にいる
歳破神は土星の精とされ、常に太歳神の正反対に位置します。
その方角では、
移転
旅行
乗船
が凶とされます。
一方で、家畜を求めることについては吉とされるという特徴もあります。
歳殺神|殺伐の気と結婚・出産の禁忌
歳殺神は金星の精とされます。
その方位は殺伐の気に満ち、万物を損し滅するとされます。
特に、
結婚
出産
を忌みます。
同じく結婚・出産を忌む大陰神とは別の方位神です。
黄幡神|土を動かすことを忌む
黄幡神は羅侯星の精とされます。
万物の墓の方、兵乱の神とも説明されます。
その方角に向かって土を動かすことは凶です。
一方、弓始めなどには吉とされます。
八将神の中でも、土地や工事との関係が特に分かりやすい神です。
豹尾神|不浄を忌む
豹尾神は計都星の精とされ、黄幡神の正反対に位置します。
特徴は、不浄を忌むことです。
古い暦では、
大小便
家畜類を求める
などが禁忌として挙げられています。
八将神の方位はどう決まる?
八将神の所在方位は、基本的に年の十二支によって決まります。
ただし、八柱すべてが同じ移動規則を持つわけではありません。
たとえば、
太歳神
その年の十二支と同じ方位。
歳破神
太歳神の正反対。
大将軍
四正方位を3年間ずつ巡る。
黄幡神・豹尾神
互いに反対位置となる。
というように、それぞれ独自の規則があります。
八将神の方位は毎年すべて変わるわけではない
八将神は年によって方位を変えますが、すべての神が毎年一方位ずつ動くわけではありません。
太歳神は毎年移動します。
一方、大将軍は同じ方位に3年間とどまります。
黄幡神や歳殺神なども、十二支の組み合わせによって同じ方位が繰り返されます。
したがって、神ごとの巡り方を確認する必要があります。
八将神で「凶方位が重なる」とどうなる?
一つの方角に複数の八将神が関係する年もあります。
しかし、
吉神1柱=+1
凶神2柱=-2
のように、単純な点数計算をするものではありません。
重要なのは、
何をしようとしているのか
です。
たとえば、同じ方角で、
木を伐るなら太歳神
土を動かすなら黄幡神
引越すなら歳破神
結婚するなら大陰神・歳殺神
というように、それぞれの禁忌を個別に確認します。
建築で見る八将神
家づくりでは複数の行為が同時に発生します。
たとえば、
木を伐る
土地を掘る
建物を建てる
新居へ移る
などです。
そのため、八将神では、
太歳神=伐木
黄幡神=土を動かす
大将軍=後世の建築・土木禁忌
歳破神=移転
というように、行為を分解して見ると理解しやすくなります。
結婚・出産では大陰神と歳殺神を見る
結婚・出産については、特に、
大陰神
歳殺神
が関係します。
両方とも同じ禁忌を持ちますが、同じ神ではありません。
所在方位も異なります。
そのため、伝統的な方位判断を詳しく行う場合は、両方を確認します。
旅行・引越しでは歳破神を見る
八将神で旅行や移転について最も明確なのが歳破神です。
歳破神は、
移転
旅行
乗船
を忌みます。
特に引越しについては、八将神の中では歳破神を中心に確認すると整理しやすくなります。
農業では歳刑神を見る
歳刑神は耕作・種まきを忌むため、農業と強く関係します。
一方、土地そのものを掘ったり動かしたりする場合は黄幡神も関係します。
つまり、
作物を植える=歳刑神
土地を動かす=黄幡神
と分けると理解しやすくなります。
八将神と方忌み
日本では、凶神がいる方向へ重要な行為をすることを避ける方忌みという考え方がありました。
八将神もこうした方位信仰と深く関係します。
予定している方角が禁忌に当たる場合、
時期を変える
方角を変える
行為を延期する
といった対応が考えられました。
方違えとは
目的地が凶方位にある場合、直接向かわず、一度別の方位へ移動してから目的地へ向かう方違えという習慣もあります。
方違えは特定の一柱だけに対応する方法ではなく、より広い方位信仰の中で用いられました。
方除とは
現在でも、家づくり・引越し・旅行などで方除の祈願を行う場合があります。
方除は、方位による災いを避け、無事を願う信仰上の行為です。
ただし、八将神8柱それぞれに全国共通の専用方除法があるというわけではありません。
八将神と九星気学は別体系
八将神と九星気学は、どちらも方位の吉凶を扱うため混同されやすいものです。
しかし、方位を求める規則は異なります。
九星気学の、
五黄殺
暗剣殺
本命殺
などと、八将神の方位は別の仕組みで決まります。
そのため、九星で凶だから八将神でも凶、あるいはその逆とは限りません。
八将神と金神・土公神も別
古い暦には、八将神以外にもさまざまな方位神が登場します。
たとえば、
金神
土公神
歳徳神
などです。
これらは八将神とは別の方位神です。
すべての方位神を八将神に含めないよう注意する必要があります。
八将神と歳徳神の関係
国立国会図書館では、歳徳神を八将神の母とする説明も紹介されています。
歳徳神のいる方向は恵方・明きの方などと呼ばれ、万事吉とされます。
ただし、歳徳神自身は八将神8柱の中には含まれません。
八将神と周辺の方位神を理解するときは、こうした神々を分けて見る必要があります。
「八将神=全部避ける」という考え方ではない
八将神を利用するときに最も避けたい誤解が、
神がいる方角は全部避ける
という考え方です。
太歳神は基本吉です。
歳破神も家畜を求めることは吉とされます。
黄幡神も弓始めなどには吉です。
重要なのは、神の名前ではなく、
その方位で何をするのか
です。
八将神を調べる基本手順
八将神について方位を確認する場合は、次の順番にすると分かりやすくなります。
1.調べたい年の十二支を確認する
八将神の基本方位は年の十二支によって決まります。
2.予定している行為を確認する
引越しなのか、建築なのか、結婚なのか、伐木なのかを分けます。
3.関係する八将神を選ぶ
行為によって確認する神が異なります。
4.その神の年方位を確認する
各神の方位表を見ます。
5.必要なら他の方位神・方位術も別に確認する
八将神だけで、すべての方位信仰を代表するわけではありません。
現代ではどう受け止めればいい?
八将神は、歴史的な暦や方位信仰の体系です。
特定の八将神方位で行為をしたことで、必ず災害や不幸が起きると現代科学によって確認されているわけではありません。
現代では、
安全性
法律
医療
防災
生活上の必要性
費用
など、現実的な条件を優先する必要があります。
伝統的な方位信仰を大切にしたい場合は、それらを土台にしたうえで、時期を調整したり、無事を祈願したりする補助的な目安として取り入れる方法があります。
八将神8柱をもう一度確認
太歳神
基本吉。ただし伐木を忌む。
大将軍
殺伐を司り、その方角は凶。三年ふさがり。
大陰神
結婚・出産を忌む。
歳刑神
耕作・種まきを忌む。
歳破神
移転・旅行・乗船を忌む。
歳殺神
殺伐の気を持ち、特に結婚・出産を忌む。
黄幡神
土を動かすことを忌む。
豹尾神
不浄を忌む。
まとめ|八将神は8柱それぞれの役割と禁忌を読む方位体系
八将神とは、
太歳神
大将軍
大陰神
歳刑神
歳破神
歳殺神
黄幡神
豹尾神
の八柱からなる方位神です。
その方位は年の十二支によって決まり、それぞれ異なる役割・吉凶・禁忌を持っています。
代表的に整理すると、
木を伐る=太歳神
建築・広い凶方位=大将軍
結婚・出産=大陰神・歳殺神
耕作・種まき=歳刑神
引越し・旅行・乗船=歳破神
土を動かす=黄幡神
不浄=豹尾神
です。
八将神を理解するときは、
「この方角は吉か凶か」だけではなく、「その方角で何をするのか」まで見る
ことが重要です。
また、八将神はすべて凶神ではありません。
太歳神のように基本的に吉とされる神もあり、歳破神や黄幡神にも特定行為について吉となる例があります。
八将神は、8柱それぞれの方位・行為・禁忌を組み合わせて読む、日本の暦における方位信仰の体系として理解すると全体像が分かりやすくなります。

