陰陽道では、凶神が宿る方位を避けることで災いを避けると考えられてきました。その中でも「八将軍(はっしょうぐん)」と「大陰神(だいおんじん)」は強い影響をもつ方位神として知られ、両者が重なった時期や方位は特に注意すべきとされてきました。これを陰陽道では「相剋(そうこく)」と呼び、凶意が高まる配置として恐れられました。本記事では、相剋の意味と背景、日取りの考え方についてわかりやすく解説します。
八将軍とは
八将軍は、八柱の凶神の総称で、暦にしたがって毎年方位を巡ります。それぞれが異なる性質をもち、生活の「大事」を行う際に注意すべき存在とされました。
- 八柱の凶神の総称
- 毎年方位を巡る
- 方位を犯すと災いが生じるとされた
大陰神とは
大陰神(だいおんじん)は、陰性の強い凶神とされ、八将軍とは別に扱われる方位神です。一定期間その方位に宿ると考えられ、引越し・建築などの実行が慎まれる時期が生じます。
- 陰の性質が強い凶神
- 八将軍とは別系統の方位神
- 宿る方位では禁忌が多い
相剋(そうこく)とは
相剋とは、八将軍と大陰神が重なる時期・方位のことを指し、「凶の力が重なり合う状態」として非常に警戒されてきました。八将軍は凶神の巡りを表し、大陰神は陰の災いを示す存在。そのため、両者が同じ方位・同じ期間に作用すると、凶意が増幅されると考えられたのです。
- 凶神が重なることで凶意が強まる
- 伝統的に大事を避けるべき時期
- 慎重な判断が必要とされる
なぜ恐れられたのか
八将軍と大陰神はそれぞれ単独でも凶方位を形成しますが、両者が重なると、家族運・健康運・金運・事業運など日常の大切な分野に影響が及ぶと考えられました。これが相剋が恐れられた理由のひとつです。
- 災いの性質が重なり不運を招くとされた
- 家庭・財産・対人面の不調を暗示
- 人生の節目に影響が出ると信じられた
相剋の時期に避けたい行動
相剋が生じている時期・方位では、とくに次のような「大事」を避けるべきとされました。
- 家の新築・改築
- 引越し
- 長期旅行
- 婚礼・開業
これらは「環境を変える行い」とされ、凶意の影響を受けやすいと信じられていたためです。
日取りの考え方
ただし、相剋の期間中であっても、吉日や吉方を選ぶことで凶意を和らげるという考えも存在しました。暦を参照し、日取りを慎重に決めて行動することで、安心感を得ることができたのです。
- 吉日を選んで行動する
- 吉方への小旅行で気を整える
- やむを得ない場合は祈願・祓いを行う
現代における相剋の活用
現代では、相剋の考え方は必ずしも絶対視されていません。しかし、「大事の前に立ち止まるきっかけ」として活用することで、生活の選択に余裕を持つことができます。
- 大事を実行する前に状況を見直す
- 家族と相談し、無理のない計画を立てる
- 心の指標として柔軟に取り入れる
相剋は不安を煽るものではなく、行動を丁寧に考えるための「節目」と捉えることが現代的な使い方といえるでしょう。
まとめ
八将軍と大陰神が重なる「相剋」は、陰陽道で特に注意すべき凶配置として考えられてきました。凶意が重なることで、日取りや行動に慎重さが求められ、建築・引越しなどの大事は避けるのが基本です。現代では、相剋を心の指標として受けとり、無理のない範囲で生活に取り入れることが大切です。暦を手がかりに、自分らしい判断軸を育てていきましょう。

