陰陽道の世界において、方位は時とともに巡り、暮らしに吉凶をもたらすと考えられてきました。その中でもとくに避けるべきとされたのが、八将軍(はっしょうぐん)と大将軍(たいしょうぐん)が位置する方位です。これらは凶神として知られ、建築・移転・旅行といった人生の大事に際し、慎む対象とされてきました。本記事では「どの方位を避けるのか」「具体的にどのような影響があるのか」を、やさしく整理して解説します。
八将軍・大将軍とは
八将軍とは、八柱の方位神の総称で、それぞれが方角に宿って吉凶をもたらす存在とされます。一方、大将軍はその中でも特に強力な凶神とされ、単独で語られることが多い神です。
- 八将軍:八柱の方位神
- 大将軍:八将軍の一柱で、特に凶意が強い
八将軍は年ごとに巡る「動く存在」、大将軍は3年間同じ方位に留まる「動かない存在」とされ、これが禁忌性の強さにつながります。
避けるべき方位とは
基本的に、八将軍・大将軍が位置する方位は避けるべき凶方位とされます。とくに大将軍が所在する方位は、強力な凶性が宿ると考えられ、長期的に慎まねばならない方位として古来より恐れられてきました。
- 八将軍:毎年位置が変わる
- 大将軍:3年間同じ方位に留まる
そのため、判断においては年ごとに暦を確認する必要があります。
凶方位の影響
八将軍・大将軍の凶方位は、暮らしのさまざまな場面に影響を及ぼすと考えられました。特に次のような行為は慎むべきものとされてきました。
- 新築・改築
- 土地の購入・売却
- 引越し
- 長期旅行
- 新規事業の開始
方位を犯すと、不運や障害が生じやすいと信じられていました。特に家や土地に関わる行いは影響が強いとされ、暦を確認したうえで慎重に行動する文化が形成されました。
なぜ避ける必要があるのか
八将軍・大将軍は強い凶意を持つとされ、これらが宿る方位に向かって行動することは、凶意を侵す行為として避けられてきました。
- 方位は時の巡りと連動する
- 凶神を犯すと災厄が及ぶとされた
- 大きな行為ほど慎む価値があると考えられた
大将軍が3年間動かないとされることは、凶性が長期にわたるという考えにつながり、特に畏れの対象となりました。
方位の調べ方(基礎)
八将軍・大将軍の位置は、年のエネルギー配置を図示した「年盤(ねんばん)」により確認できます。年盤は干支の巡りなどをもとに作成され、暦書や方位手帳に示されています。
- 暦書や年盤の図を参照
- 年ごとの八将軍の位置を確認
- 大将軍の滞在方位を確認
八将軍は年ごとに巡りますが、大将軍は3年同じ方位に留まるとされるため、確認時には注意が必要です。
暮らしへの影響
凶方位を避ける文化は、住まい・移動・行事などに反映され、生活の指標として活用されてきました。
- 家づくりのタイミングを調整
- 引越し先の方位を検討
- 旅行の方位を選ぶ
現代では方位を絶対視する文化は弱まりましたが、「心の支え」「判断材料の一つ」として受け継がれています。
まとめ
八将軍と大将軍は、陰陽道において方位に宿る凶神であり、その所在する方位は凶方位として避けるべきとされてきました。特に大将軍は3年間同方位に滞在するとされ、強い禁忌を伴う存在です。現代では、方位を生活判断の参考として柔軟に取り入れることができます。暦や方位の文化を知ることで、暮らしの節目における意思決定に役立つ知恵として活用できるでしょう。

