「土用」とは、季節のかわり目のことで、古代中国の思想である五行説に由来します。土用のあいだは「土の気が盛んになる」とされ動土、穴掘りなどの土を犯す作業や殺生が不吉なこととしてさけられました。
一般的に土用というと土用の丑(うし)の日にうなぎを食べるというイメージの人が多いでしょうが、夏の土用だけでなく、1年に4回もあり、その期間は2ヶ月ほどの長期間です。
冬土用:1月17日ごろ~2月3日ごろ
春土用:4月17日ごろ~5月4日ごろ
夏土用:7月20日ごろ~8月6日ごろ
秋土用:10月20日ごろ~11月6日ごろ
どのように土用を理解すればいいか? こういう風にイメージしてみましょう。
まず土用はどのように考えられているか?というと
・土用の期間中は土のなかに土を司る神、 土公神(どこうじん・どこうさま)がおられるので、土をいじると怒りをかい、祟りがある。
・木を植えたり、土いじりをすると腰を痛める。
・喧嘩をしたり、言い争いをしても、泥沼になってまとまらない。
・新しいことを始めても続かない。
・引越し・旅行はタブー
・生もの、冷たいものはを食べると体調を崩しやすい。
・柱を立て、基礎工事、壁塗り、井戸掘り、土葬、穴あけなどはダメ
・異常者が出やすい。
と考えられています。
春や夏になると変質者が増えるのは、もはや定番ですがこれも土用と関係があるようですね。
科学的・現代的解釈では「季節の変わり目で体調をくずしやすく注意」ということです。
昔はいまほど医療が発展しておらず、少しの体調の崩れがその後に大きく響いていた。そのため季節の変わり目である土用に注意するようになったと考えてもいいかもしれません。
また季節の変わり目というのは、人間だけでなく植物も影響をうけるものと考えられます。そこで土いじりをすると良くない。としたとも言われています。
季節の変わり目だろと考えれば、すこし甘く考えてしまう人も多いと思います。しかし土の神さまがいると考えれば、これはまずいかもと思えるもの。
運というのも、科学的にどうこう言えない部分があるので、個人的には神様がいて土用を犯せば、運気が下がると考えるぐらいが、ちょうど良いと注意しています。
土用は注意しないと犯しやすい
年に2ヶ月間もあるので注意しないと土用は犯しやすいです。特に春土用はゴールデンウィーク中ですし、夏土用は夏休み期間です。
ゴールデンウィークに旅行、キャンプ、ガーデニング、農作業、草刈を行った方は土用を犯したことになります。
夏休みの土用中に海水浴で砂遊びをするのは普通ですし、キャンプなどのアウトドアも普通です。子供なら虫取りなどによく行きますが、こんな行動も土用を犯す可能性が高くなります。
大人でも子供でも土用は犯しやすいと考えたほうがよさそうです。
土用の回避のしかた
一般的な回避方法としては、その作業を始める時期を土用前にすると良いとされます。例えば基礎工事も土用が始まる前からスタートすれば、土用は回避したとされます。作業が土用にかかっていても問題ないとされます。
あと、すべての土用には間日(まび)と呼ばれる日があります。この時期は土公神が天界に行っているのでさわりが少ないとされます。
こういった回避法があるのはありますが、できればしないほうが良いとされるので、どうしても仕方ない場合にとどめ積極的には土用を犯すようなことはしないほうが良いでしょう。
季節の変わり目で体調が悪化しやすいですからね。
しかし回避は意外と難しく、年間でスケジュールを考えなくてはいけません。これは少し計画性が必要になります。たとえばガーデニングが好きなひとであれば、春に気分がいいからといって、作業をすると土用にかかる可能性が高まります。
避けるためには土用期間前後に庭の作業をすることです。
たとえば観葉植物の植え替えの適期は5月から6月です。ですのでゴールデンウィーク明けにしましょう。
植木やバラなどは1月・2月が植え替えの適期ですから、これも冬土用にかからないようにすると良いでしょう。
また春の種まきも春土用を犯しがちなので注意してください。
土用の時期にアウトドアをするのなら、できるだけ間日を使う。そして土に直接触れないように手袋などをして作業をするなど心がけてください。
郊外にお住まいの方はちょうど土用の時期に草刈が気になるところですが、土用明けにするようにしましょう。
個人的には、土用の時期は花殻つみ、病気の葉の剪定など定期的に必要な手入れも間日に行うようにしていますし、もちろん手袋はつけてできるだけ土にさわらないように注意して行っています。
土用は一度犯してしまうと中毒になるそうで注意が必要です。
先日ようやく土用があけたので庭仕事しましたが、ガマンした分楽しく作業ができましたよ。
土用 してはいけないこと
・ガーデニング
・農作業
・草刈
・建設・土木・リフォーム
・引越し
・新規のこと
・買い物(食料品や消耗品は除く)
・旅行、レジャー
・アウトドア
・暴飲暴食
・釣り(アウトドアですし、殺生は禁止とされるところから釣りも禁止したほうがいいでしょう。また夏の土用に関しては水温が高いため土用隠れを起こし釣れなくなります。)
土に触れること全般にNGです。あとは新規の事項、これは開業だとか、新規出店、新装開店などもNG。
買い物も新しい電化製品を買うとか、服を買うとかはよしておいたほうがいいでしょう。夏なら水着を買うとかも日をずらしたほうが良いといいます。
季節の変わり目で、体調が悪化していると判断力も衰えます。すると不要なものを購入したりとかしやすいということでNGとされます。
したほうが良いこと
・ゆっくりと休む。
・土用干し(衣服を虫干しすること)
・梅干を干す
・整理整頓清掃
・衣替えの準備、寝具や家具などを季節の品に変える。
・消化のいいモノを食べる。
・次のシーズンの準備
・うなぎなど「う」のつくものをたべる。梅干、うなぎ、瓜、うどん、
とくにゆったり休むのはいいでしょう。いつも忙しい人はこの期間くらいは骨休めするようにしましょう。
消化のいいものを食べると、体調がよくなります。
犯した場合の回復方法
回復方法の情報は少なくほとんどありませんでした。土公神への謝罪が基本となるようで、
私が行ったのは
■造作を行ってしまった場合
造作を行った場所の土に塩をまきながら
「土公神(どこうじん、つちこうじん)さま、知らずに土用期間中に土を動かして申し訳ございませんでした。これから気をつけますのでお許しください」
と小声で謝罪をする。
非常にスッキリとした気分になりましたので、お許しいただけたものと感じております。塩の量は場所の広さなどにもよりますが、おおさじで2杯程度あればいいのではと思っております。
■引越しをした場合
敷地の四隅に塩をまきながら
「土公神(どこうじん、つちこうじん)さま、知らずに土用期間中に引越ししてきて申し訳ございませんでした。これから気をつけますのでお許しください」
と小声で謝罪をする。
■考え方
犯してしまったことは仕方が無いことで今後注意するしかありません。ただ謝罪できるのなら謝罪したい。そういう気持ちで取り組むことです。
塩は邪をはらうという意識ではなく、土公神へのささげものという意識でします。言葉の内容は、穴を掘ったのなら、「知らずに穴をほって申し訳ございませんでした」という風に状況に応じて変化させてください。
なにか特別な呪文やコマンドがあるというわけではなく、知らずにこうした、今後は注意するから許して欲しいということを伝えるだけです。
より積極的に土用の脅威を防ぐ
もともと、土公神という名は陰陽五行説の土を司る神の名です。
陰陽道ではこの神の留守中に土を犯すと激しく祟ると説いており、土用(土公神)対策に一番詳しいのが陰陽師ということになります。
陰陽師は、古代日本の律令制下において中務省の陰陽寮に属した官職で、平安の時代より、国家や天皇、貴族の求めに応じて暦や日の吉凶、方角の吉凶を防ぐ仕事をしてきました。
彼らがよく行なったのが、天皇や貴族の求めに応じ、護符を製作することでした。その護符の種類は多岐にわたり、方除けという、凶方位に向かってなにかする際に、災いが起きないようにする護符や、お金持ちになる護符、両思いになる護符など300種類を超えます。
陰陽師はいま現在も数は少ないですが現実に存在しています。陰陽師であれば、護符を使って土用(土公神)対策もできます。
もし今現在の不運が過去に土用を犯したことにあると感じるのであれば、陰陽師に護符の製作を依頼するというのも良いかもしれません。
陰陽師の先生が一点一点すべて手書きで作成される、かなえやという護符のオーダーサイトが人気ですが、こちらに問い合わせたところ、
オーダーで「土用を犯したことによる、災いを防ぐ護符」と依頼すれば作ってもらえるそうです。
土用を犯すというのは、癖になってしまい、注意していても、ふたたび犯してしまいますから、これでは他で開運をなしえたとしても、開運効果が得られないなど、もったいないことになりかねません。
護符に関しては護符・霊符の効果に護符の効果など詳しく書いてありますから、参考になさってください。
まとめ
人が成功するためには「時と所を得ることが必要だ」といわれています。土用というのはまさに時。土を動かす、新規事業などは大きな変化です。
そんな大きな変化を季節の変わり目という負担の大きな時に平気でするような人がスムーズに成功するのでしょうか?
土用の期間というのは、なぜかそわそわする期間です。天候が変化して動きたくなるのでしょう。
しかし土用は動くべきではない期間です。他の人が動く時間にあなたは動かないことで運気をたくわえることができます。
みんながやっているから大丈夫ではなく、「みんながやっているからやっていない私は差をつけれる」という感覚でぜひ意識してみてください。