陰陽道における方位神の中でも、ひときわ注意を促される存在が「八将軍」と「大将軍」です。どちらも凶神として知られ、建築や引越し、旅行などの大事を行う際に避けるべき存在として位置づけられてきました。本記事では、八将軍と大将軍は「動くのか?」「動かないのか?」という疑問を中心に、方位の見方や禁忌の基本をやさしく整理します。
八将軍は動くのか
八将軍とは、八柱の方位神の総称で、年ごとに方位を巡って移動すると考えられています。つまり、八将軍は「動く」存在です。ただし神々の巡りは一定ではなく、各将軍がどの方位を司るかは、陰陽道や暦法の流派により若干の違いがあります。
- 八将軍=八柱の総称
- 年ごとに方位を巡る=動く
- 暦術の基礎となる存在
八将軍の動きは、年盤(ねんばん)により示され、暦を読む際の基本指標となります。年盤とは、その年のエネルギー配置を方位に落とし込んだ図で、方位術・家相・日取りなどの判断に用いられます。
大将軍は動くのか
大将軍は八将軍の一柱ですが、特徴的なのは「3年間同じ方位に留まる」とされる点です。このため、大将軍は短期的には動かない存在とされています。
- 大将軍=八将軍の一柱
- 3年間同じ方位に留まる=動かない
- 凶意が強く、特に慎むべき存在
大将軍が長期間その方位に滞在するとされるため、建築や移動などを控える期間が長く、強い禁忌性が語られてきました。これが大将軍がしばしば恐れられた大きな理由です。
八将軍と大将軍の違い
両者の違いを整理すると次の通りです。
- 八将軍:動く/毎年巡る
- 大将軍:動かない/3年間同方位
八将軍は方位を巡って移動し、年ごとの吉凶を示す存在。一方、大将軍はその中でも特に強力で、巡らずに滞在する期間が長い点が特筆されます。
方位の見方(年盤)
八将軍や大将軍の位置を考えるうえで必要となるのが「年盤」です。年盤は、その年の方位エネルギー配置を図示したもので、暦学・方位術において必須となります。
年盤を見ることで、どの方位に八将軍があるのか、また大将軍が現在どこに留まっているのかが判断できます。
- 暦を参照して確認
- 家相・旅行・移転の判断材料
- 干支の巡りと関係
禁忌とされる行い
八将軍・大将軍がいる方位は、伝統的には強い凶方位とされ、次のような行為は慎むべきとされました。
- 新築・改築
- 引越し
- 長期の旅行
- 婚礼や新規事業の開始
とくに大将軍が留まる方位は、3年間にわたり慎む必要があると考えられたため、古来より強い畏れの対象でした。
現代における考え方
現代では、方位や年盤を絶対視する場面は減りましたが、方位術・家相・暦文化を学ぶうえで八将軍・大将軍の概念は基礎となります。日取りを選ぶ際の参考にしたり、ライフイベントに際し気持ちの区切りとして取り入れる人もいます。
- 文化理解のための基礎知識
- 人生の節目での指標
- 心の拠り所として活用
まとめ
八将軍は年ごとに巡る「動く」存在であり、大将軍は3年間同じ位置に留まる「動かない」存在として伝えられてきました。両者は方位の凶神として扱われ、建築や移動の判断に大きく影響を与えた歴史があります。現代では必ずしも従う必要はありませんが、暦や方位文化を知る上で重要な基礎知識として理解しておくと役立つでしょう。

