風水の世界では「方位」は単なる方向ではなく、そこに流れる“気の性質”を意味します。中でも「五大方殺(ごだいほうさつ)」と「小児殺(しょうにさつ)」は強い凶意を持つ方位として知られています。しかし、凶方位を恐れるだけではなく、その意味を正しく理解し、エネルギーを整える方法を知ることで、むしろ家庭運や健康運を向上させることも可能です。本記事では、風水師の観点からこれらの方位の真意と、日常でできる浄化の方法を解説します。
五大方殺とは——家庭全体に影響する「大凶方位」
五大方殺は、五黄殺・暗剣殺・歳破・本命殺・本命的殺の五つの凶方位を総称する言葉です。これらはそれぞれ異なる性質を持ち、共通して「家庭運・財運・健康運の停滞」をもたらすとされます。
- 五黄殺:腐敗や停滞を象徴し、家庭の基盤に影響。
 - 暗剣殺:突発的なトラブルや外部からの攻撃を暗示。
 - 歳破:その年の運勢の逆流を表し、計画の破綻に注意。
 - 本命殺・本命的殺:本人の生まれ星と不調和を起こす方位。
 
五大方殺は年や月ごとに位置が変化するため、引越しや新築、増改築などを行う際には、暦を参照して方位を確認することが大切です。
小児殺とは——子どもの運気に影響する「繊細な方位」
小児殺は、十二歳以下の子どもに影響を与える凶方位です。大人よりも“気の流れ”に敏感な子どもは、この方位の影響を受けやすく、体調や情緒の不安定さとして現れることがあります。
たとえば、小児殺の方位に子どもの寝室や遊び場を配置していると、次のような兆候が出やすくなります。
- 原因不明の体調不良や不眠
 - 落ち着きのなさや学習意欲の低下
 - 家庭内での感情的な衝突
 
このような状態が続くとき、環境の「気の流れ」を見直すことで改善につながることが多いのです。
五大方殺と小児殺の本質——「恐れる」より「調える」
多くの人が凶方位を「避けるべきもの」と捉えますが、風水師の立場から言えば本質は「気の調和」です。方位を完全に避けることが難しい場合でも、環境のバランスを整えることで凶の力を弱め、吉に転じることができます。
五大方殺は“陰の気が溜まる”ことによって起こり、小児殺は“気の偏り”によって発生すると考えられています。したがって、浄化と気の循環を意識することが最も効果的な対策です。
風水師が実践する浄化の方法
では、具体的にどのように空間のエネルギーを整えればよいのでしょうか。以下は、風水師が実際に行う代表的な浄化法です。
- 盛り塩による浄化:凶方位に当たる玄関・部屋の四隅に白い皿で盛り塩を置きます。七日ごとに新しい塩に交換し、使用済みの塩は流水で流します。
 - 香による気の調整:白檀・沈香・ラベンダーなど、浄化力の高い香を焚くことで、空気中の滞りを整えます。
 - 光と風を取り入れる:自然光を取り入れ、風を通すことで「生気」を呼び込みます。特に小児殺の方位は換気が重要です。
 - 観葉植物を置く:植物は気を吸収し、浄化して放出する「生気の媒介」。方位の乱れを柔らげる作用があります。
 - 神棚や護符で気を整える:方災除けや八方除けの護符を凶方位の壁面に貼ると、空間の波動を安定させます。
 
方位を犯した場合のリカバリー
もし五大方殺や小児殺を誤って犯してしまった場合は、慌てる必要はありません。まずは“気の調整”を意識すること。掃除・換気・香・植物といった基本的な浄化で十分に流れを改善できます。
また、神社や寺院での「方位除け祈願」も効果的です。特に「八方除」「方災除」「家内安全」の祈祷を受けると、乱れた気の鎮静に役立ちます。
まとめ——凶方位を知ることは、幸運を迎える準備
五大方殺や小児殺は、恐れるための知識ではなく「調えるための指標」です。方位の凶意を知り、浄化を行い、空間のエネルギーを整えることで、家庭の運気や健康運は再び穏やかに流れ出します。
風水師が重視するのは「気の滞りを放置しない」こと。日々の暮らしの中で、光・香・植物・祈りといった自然な手段で空間を清めることが、最も確実な開運への道です。

  
  
  
  